
近年、顧客満足度向上や業務効率化のために、チャットボットの導入が盛んになっています。しかし、従来のチャットボット開発は専門知識や複雑なプログラミングが必要で、コストや時間がかかるだけでなく、ルールベースで構築されるものが多く、複雑な質問には対応できなかったり、不自然な会話になってしまったり、思うように動かないという課題もありました。
そこで注目されているのが、OpenAIが開発した革新的なAIモデル「ChatGPT」です。ChatGPTは高度な自然言語処理能力を持ち、APIを介して簡単に利用できます。この技術を活用することで、専門知識がなくても、誰でも簡単により自然で人間らしい会話ができる高精度なチャットボットを作れるようになりました。
本記事では、ChatGPTを使ったチャットボットの作り方を、具体的な手順とメリット、注意点も含めて解説します。
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目次
OpenAIとは
OpenAIの概要
OpenAIは、人工知能(AI)の研究、開発、普及を推進する非営利組織およびその関連企業として2015年に設立されました。現在は、より大きな影響力を持つため、非営利性と営利性の両面を持つ組織になっています。
OpenAIの目的
AIの進歩を促進し、AI技術の利用が社会全体の利益に貢献することを目指しています。AIの研究や開発を進め、その成果を広く共有し、技術の進歩で誰もが利益を受けられるようにすることです。特に、AIの能力向上や安全性の確保に焦点を当てており、民間企業や個々の研究者によるAIの独占を防ぎ、技術の利用が公正で透明性があり、倫理的な枠組みの下で行われるよう努めています。この取り組みは、AIが人類全体にとって利益をもたらす可能性を最大限に引き出すことを目指すものです。
参考:https://openai.com/
参考:https://openai.com/about
ChatGPTを使ったチャットボットの作り方
ChatGPTを使ったチャットボットの作り方は「APIを用意」「チャットのメッセージをプロンプトに入れる」「ChatGPTの生成内容をチャットに反映する」の3段階に分かれます。
以下では、各段階の内容を詳しく説明していきます。
なお、ChatGPT の数あるバージョンのうち、GPT-3を使ったチャットボットの作り方は以下の記事を参考にしてください。
APIを用意
APIを用意する具体的過程は以下の3Stepです。
- Step1:OpenAIのウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成
- Step2:APIキーを取得
- Step3:取得したAPIキーを安全な場所に保存
まず、OpenAIのウェブサイト(https://openai.com/)にアクセスし、画面上の「Sign Up」をクリックします。アカウント登録画面が表示されるので、必要事項を入力します。
利用規約を確認し、同意の上で「Create Account」をクリック。
次に、APIキーを取得するには、OpenAIのウェブサイトにログインし、画面上の自分の名前をクリックし、「API Keys」を選択して「Create New Key」をクリックします。
新しいAPIキーの名前を入力し、「Create」をクリック。
最後に、APIキーが漏洩すると、第三者に悪用される可能性があるため、テキストファイルなどに保存する場合は、パスワード付きのファイルで保存して下さい。
チャットのメッセージをプロンプトに入れる
チャットのメッセージをプロンプトに入れる具体的過程は以下の3Stepです。
- Step1:ユーザーからのメッセージを取得
- Step2:そのメッセージをAPIのプロンプトとして設定
- Step3:プロンプトをAPIに送信
まず、チャットボットのユーザーインターフェース(画面や音声入力など)から、ユーザーが入力したメッセージを取得します。具体的な取得方法は、開発するチャットボットのプラットフォームやフレームワークのドキュメントを参照してください。
次に、取得したメッセージを、ChatGPTに指示を与えるプロンプトとして整形します。
例えば、ユーザーが「今日の天気は?」と入力した場合、プロンプトは「今日の東京の天気は?」のように、回収したユーザーの発話内容とそれに応じたChatGPTの回答内容を整形するのです。
最後に、整形したプロンプトをOpenAIのAPIに送信し、ChatGPTに処理を依頼します。
一般的には、HTTPSリクエストを使用して送信します。
ChatGPTの生成内容をチャットに反映する
ChatGPTの生成内容をチャットに反映する具体的過程は以下の3Stepです。
- Step1:APIからの応答を取得
- Step2:応答をチャットウィンドウに表示
- Step3:ユーザーに応答を表示
まず、ChatGPTが生成したテキストをAPIからの応答として受け取ります。
応答形式の具体的な内容は、OpenAIのAPIドキュメントを参照してください。
次に、受け取ったテキストをチャットボットの画面に表示したり、音声で読み上げたりして、ユーザーに提示します。
最後に、チャットウィンドウに表示された応答をユーザーに送信し、ユーザーの反応に応じて、次のプロンプトを設定し直したりして、顧客満足度向上と業務効率化に努めます。
ChatGPTを使ったチャットボットのメリット
ChatGPTを使ったチャットボットは、従来のチャットボット開発の課題を解決し、コストや時間を大幅に削減しながら、顧客満足度向上と業務効率化を実現します。こうした効果をもたらすChatGPTを使ったチャットボットのメリットを以下で紹介します。
APIだけですぐに始められる
APIだけですぐに始められるメリットとして、以下の3点が考えられます。
- 低コスト
- 迅速な展開
- 拡張性
従来のカスタムチャットシステムでは、専門的なスキルや複雑なコーディングが必要であるため、開発に時間がかかりました。しかし、ChatGPTを利用することで、専門的な知識やプログラミングのスキルが不要となり、素早くチャットボットを展開できるようになっています。また、APIベースのアプローチで、新しい機能や機能の変更が容易となり、迅速な拡張も可能になりました。
精度が高い
メリットとなる精度の高さとは、以下の3点が考えられます。
- ユーザーエクスペリエンスの向上
- 効率的なサポートの提供
- 誤解の削減
伝統的なチャットボットでは、予め定義されたルールやパターンに基づいて応答が生成されるため、複雑な質問や文脈、新しい質問・要求に対応する際に制約が生じることがありました。しかし、高度な自然言語処理能力を持つChatGPT のAIモデルを利用することで、より迅速かつ効率的にユーザーのニーズに対応できるようになり、より正確に類似性を把握し適切な応答を生成できるようになっています。
事前情報を与えることができる
事前情報を与えることができるメリットとして、以下の2点が考えられます。
- カスタマイズ可能性拡大
効率的な情報提供
一般的なチャットボットでは、幅広いトピックに対応するため、特定の分野や業界に特化したサポートを提供することが難しいという課題がありました。しかし、ChatGPTには専門的な情報を事前に与えられるため、特定の分野に特化したチャットボットを開発し、カスタマイズされたサポートを効率的に提供できるようになっています。
ChatGPTを使ったチャットボットの注意点
ChatGPTの持つ高度な自然言語処理能力も完ぺきではありません。そのため、実際に運用する前はもちろん、運用段階に入ってからも、以下の点に注意する必要があります。これら注意点に対応してチャットボットを運用することでユーザーの信頼を維持・向上できます。
テスト運用する
注意点としてテスト運用する意義は以下の2点です。
- 品質確保
- コスト削減
ChatGPTを利用したチャットボットでは、AIモデルの学習データや更新によって予期せぬ応答が生じることがあります。また、チャットボットを利用するユーザーは多様であり、異なる文化や言語の違い、スラング、新しいトピック、言い回しが出てきた場合、期待通りの応答ができないことも避けられません。そのため、定期的なテスト運用が不可欠です。
また、予期せぬ問題が本番環境で発生すると、修正に時間とリソースがかかる場合があるため、テスト運用することでこれらの問題を事前に発見し、コストを削減できます。
ミスが起こる前提で運用する
注意点としてミスが起こる前提で運用する意義は以下の2点です。
- 危機管理
- 学習の機会
チャットボットは人間ではないため、特定の文脈や複雑な要求に対する応答に限界がありますし、ユーザーの感情を誤解し、不適切な応答を返す場合があることも避けられません。そのため、ミスが起こる前提で運用することで、このような状況に対応できる体制を整えておく必要があります。
また、チャットボットが継続的にミスを起こす場合、その原因やパターンを分析し、改善する機会とすることでシステムの品質向上につなげられる点も、ミスが起こる前提で運用する重要な意義です。
まとめ
本記事では、OpenAIのChatGPTを活用することで、誰でも簡単に高精度なチャットボットを作れることを解説しました。従来のチャットボット開発の課題を解決し、コストや時間を大幅に削減しながら、顧客満足度向上と業務効率化を実現できるのです。
これを機に、チャットボット開発に関する専門書籍やセミナーも活用して、自社の業務に合った活用方法を探してみましょう。無料トライアルなどを活用して、ChatGPTの機能を実際に試してみるのもおすすめです。
ChatGPTは、顧客満足度と業務効率を同時に高め、企業の競争力強化に貢献する革新的なツールです。本記事を参考に、ChatGPTを活用したチャットボット開発の可能性を検討し、ビジネスを飛躍させてください。