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ChatGPT 3.5と4の違い。進化したAIの実力を徹底比較します!

ChatGPT 3.5と4のロゴが表示されたノートパソコンと未来的なAIネットワーク

はじめに

人工知能(AI)技術の急速な進歩により、私たちの日常生活や仕事のあり方が大きく変わりつつあります。その中でも、OpenAIが開発したChatGPTは、特に注目を集めています。ChatGPTは、人間のような自然な対話を行うことができる革新的なAIモデルですが、その最新バージョンであるChatGPT-4は、前身のChatGPT-3.5からさらに進化を遂げました

本記事では、ChatGPT-3.5とChatGPT-4の違いを詳細に比較し、それぞれの特徴や活用方法について解説します。AI技術に興味がある方はもちろん、ビジネスや教育の現場でAIを活用したいと考えている方にとっても、貴重な情報源となるでしょう

この記事は、AIの受託開発会社であるlilo株式会社の、プロのAIエンジニアが執筆しています。AIの最先端で実際の開発を行うプロの視点から、皆様に重要な情報をお伝えします。

I. ChatGPT 3.5と4の基本情報

まずは、ChatGPT-3.5とChatGPT-4の基本的な情報について見ていきましょう。

リリース日

  • ChatGPT-3.5:2022年11月30日
  • ChatGPT-4:2023年3月14日

ChatGPT-3.5は、GPT-3.5アーキテクチャをベースにした対話特化型のAIモデルとして登場しました。一方、ChatGPT-4は、その約3ヶ月後にリリースされ、大幅な性能向上を実現しています

開発背景

OpenAIは、より高度な自然言語処理能力を持つAIの開発を目指し、継続的な改良を行ってきました。ChatGPT-3.5は、すでに高い評価を得ていたGPT-3モデルをさらに洗練させたものでした。

ChatGPT-4の開発では、以下の点に特に注力されました:

  1. より深い文脈理解
  2. 複雑なタスクへの対応
  3. マルチモーダル入力の処理
  4. 倫理的考慮とバイアスの軽減

これらの改良により、ChatGPT-4はより人間に近い対話能力と、幅広いタスクへの適用性を獲得しています

使用可能な場所

両バージョンとも、主に以下の方法でアクセスできます:

  1. OpenAIのウェブインターフェース
  2. API(アプリケーションプログラミングインターフェース)

ChatGPT-3.5は無料版と有料版(Plus)があり、誰でも基本的な機能を試すことができます。一方、ChatGPT-4は当初はPlusサブスクリプション会員限定でしたが、現在では一般ユーザーも利用可能になっています。ただし、使用量に制限があり、より高度な機能や大量の利用には別途料金が必要です。

APIについては、両バージョンとも開発者向けに提供されていますが、ChatGPT-4のAPIはより高度な機能を持ち、それに応じて価格も高くなっています

II. 性能と能力の比較

ChatGPT-4は、3.5バージョンと比較して多くの面で性能が向上しています。ここでは、主要な能力について詳しく見ていきましょう。

言語理解と生成能力

ChatGPT-4は、より洗練された言語モデルを採用しており、以下の点で優れています:

  1. 文脈理解:より長い会話や複雑な文脈を正確に理解し、適切な応答を生成できます。
  2. ニュアンスの把握:言葉の裏にある意図や感情をより正確に捉えることができます。
  3. 多言語対応:100以上の言語で高品質な翻訳と対話が可能です。

例えば、法律文書や学術論文のような専門的な内容でも、ChatGPT-4はより正確な理解と説明が可能です。一方、ChatGPT-3.5も十分な言語能力を持っていますが、特に複雑な内容や微妙なニュアンスの理解においては、4に劣る場合があります。

タスク処理の速度と正確性

処理速度に関しては、両バージョンとも非常に高速ですが、ChatGPT-4はより複雑なタスクでも安定したパフォーマンスを発揮します。

正確性については、OpenAIの公式発表によると、ChatGPT-4は以下の点で大幅に向上しています:

  • 専門的な試験(弁護士資格試験や医学知識テストなど)での成績が人間の平均を上回る
  • プログラミングタスクでのエラー率の低下
  • 複雑な数学問題の解決能力の向上

具体的な例として、米国の弁護士資格試験(バー試験)において、ChatGPT-3.5は下位10%の成績でしたが、ChatGPT-4は上位10%の成績を収めています。

マルチモーダル機能

ChatGPT-4の最も革新的な特徴の一つは、テキストだけでなく画像も処理できるマルチモーダル機能です。これにより:

  • 画像の詳細な説明
  • 画像内のテキスト認識と翻訳
  • 画像に基づく問題解決や分析

などが可能になりました。例えば、料理のレシピ画像を見せれば、材料リストを作成したり、調理手順を説明したりすることができます。

一方、ChatGPT-3.5はテキストのみの処理に限定されており、画像認識機能は搭載されていません

コンテキスト理解と長期記憶

両バージョンとも、会話の流れを理解し、以前の発言を参照する能力を持っていますが、ChatGPT-4はより長い会話履歴を保持し、正確に参照することができます。

  • ChatGPT-3.5:約3,000単語のコンテキストウィンドウ
  • ChatGPT-4:約25,000単語のコンテキストウィンドウ

この違いにより、ChatGPT-4はより長文の文書を一度に処理したり、複数の関連するトピックを跨いだ複雑な会話を維持したりすることが可能です。

III. 特化した能力の違い

ChatGPT-4は、特定の分野においてより高度な能力を発揮します。ここでは、主要な3つの能力について詳しく見ていきましょう。

コーディング能力

プログラミングに関しては、両バージョンとも基本的なコード生成や修正が可能ですが、ChatGPT-4はより高度な能力を持っています

  • 複雑なアルゴリズムの実装:ChatGPT-4は、効率的なソートアルゴリズムや高度なデータ構造を使用したコードを生成できます。
  • バグの発見と修正:より正確にコードの問題点を特定し、適切な修正案を提示できます。
  • 多言語対応:より多くのプログラミング言語やフレームワークに対応し、最新の技術トレンドを反映したコードを生成できます。

例えば、機械学習アルゴリズムの実装や、複雑なウェブアプリケーションのバックエンド設計など、より高度なプログラミングタスクでChatGPT-4は力を発揮します。

創造的タスク

文章作成やアイデア生成などの創造的タスクにおいても、ChatGPT-4は優れた能力を示します:

  • より多様なスタイルと形式:小説、詩、脚本、ビジネス企画書など、様々な形式の文章を高品質で生成できます。
  • オリジナリティの向上:より独創的なアイデアや斬新な表現を提案することが可能です。
  • 文脈に応じた適切な表現:与えられた状況や対象読者に合わせて、適切な言葉遣いや表現方法を選択できます。

ChatGPT-3.5も十分な創造性を持っていますが、特に長文の生成や複雑な構造を持つ文章の作成において、ChatGPT-4の方がより高品質な出力を提供できる傾向があります。

数学・論理的問題解決能力

数学や論理的思考を要する問題に関しては、ChatGPT-4が大きく進化しています:

  • 高度な数学問題の解決:微積分、線形代数、確率統計などの大学レベルの数学問題を解くことができます。
  • 論理パズルの解決:複雑な論理パズルや推理問題を、段階的に解説しながら解くことが可能です。
  • 数学的証明:定理の証明や数学的概念の詳細な説明ができます。

ChatGPT-3.5も基本的な数学問題や論理的思考を要するタスクに対応できますが、より高度で抽象的な問題に直面した際には、ChatGPT-4の方が正確で詳細な解答を提供できる可能性が高いです。

IV. 使用事例と適用分野

ChatGPT-3.5と4は、様々な分野で活用されています。ここでは、それぞれのバージョンの特徴を生かした使用事例を見ていきましょう。

ビジネスでの活用例

  • カスタマーサポート
    • ChatGPT-3.5:基本的な問い合わせ対応、FAQ生成
    • ChatGPT-4:複雑な問題解決、感情分析を伴うカスタマーケア
  • コンテンツ作成
    • ChatGPT-3.5:ブログ記事、製品説明文の下書き
    • ChatGPT-4:SEO最適化された長文記事、多言語でのマーケティング資料作成
  • データ分析
    • ChatGPT-3.5:基本的なデータ傾向の説明
    • ChatGPT-4:複雑なデータセットの詳細分析、予測モデルの提案
  • 業務効率化
    • ChatGPT-3.5:スケジュール管理、簡単なタスク自動化
    • ChatGPT-4:複雑なワークフロー設計、AI駆動の意思決定支援システム

教育分野での利用

  • 個別指導
    • ChatGPT-3.5:基本的な質問への回答、学習計画の提案
    • ChatGPT-4:学生の理解度に応じた適応型学習、複雑な概念の詳細な説明
  • 教材作成
    • ChatGPT-3.5:基本的な練習問題の生成
    • ChatGPT-4:インタラクティブな学習モジュール、マルチメディア教材の設計
  • 言語学習
    • ChatGPT-3.5:基本的な会話練習、単語学習支援
    • ChatGPT-4:ネイティブレベルの会話シミュレーション、文化的背景を踏まえた言語指導
  • 研究支援
    • ChatGPT-3.5:文献要約、基本的な研究方法の提案
    • ChatGPT-4:高度な研究デザインの支援、複数の学術分野を跨ぐ分析

研究開発における役割

  1. アイデア生成
    • ChatGPT-3.5:基本的なブレインストーミング支援
    • ChatGPT-4:革新的な研究アプローチの提案、分野横断的なアイデア創出
  2. データ解釈
    • ChatGPT-3.5:基本的なデータ傾向の説明
    • ChatGPT-4:複雑なデータセットの深層分析、潜在的パターンの特定
  3. 文献レビュー
    • ChatGPT-3.5:関連文献の要約と整理
    • ChatGPT-4:広範な文献の批判的分析、研究ギャップの特定
  4. 実験設計
    • ChatGPT-3.5:基本的な実験プロトコルの提案
    • ChatGPT-4:複雑な実験デザイン、潜在的な問題点の予測と対策提案

これらの使用事例から、ChatGPT-4がより高度で複雑なタスクに適していることがわかります。一方で、ChatGPT-3.5も日常的な業務や基本的なタスクには十分な能力を持っており、多くの場面で効果的に活用できます

V. 倫理的考慮と制限事項

AIの発展に伴い、倫理的な問題や使用上の制限についても考慮する必要があります。ChatGPT-3.5と4は、この点でも進化を遂げています。

バイアスと公平性

  • ChatGPT-3.5:基本的なバイアス軽減策が実装されていますが、時に偏見を含む回答を生成する可能性があります。
  • ChatGPT-4:より洗練されたバイアス検出・軽減アルゴリズムを採用し、多様性と公平性を重視した回答を生成します。

例えば、ジェンダーや人種に関する質問に対して、ChatGPT-4はより中立的で配慮された回答を提供する傾向があります。

プライバシーとデータセキュリティ

両バージョンとも、ユーザーのプライバシー保護を重視していますが、ChatGPT-4ではさらに強化されています

  • 個人情報の取り扱い:入力された個人情報を記憶せず、セッション終了後に破棄します。
  • データ暗号化:より高度な暗号化技術を採用し、通信の安全性を向上させています。

ただし、ユーザーは依然として機密情報や個人を特定できる情報の入力には注意が必要です。

使用上の制限と注意点

  • 情報の正確性
    • ChatGPT-3.5:基本的な事実関係は押さえていますが、時に誤った情報を提供する可能性があります。
    • ChatGPT-4:より正確な情報提供が可能ですが、完全な正確性は保証されません。重要な情報は必ず別途確認が必要です。
  • 最新情報への対応
    • 両バージョンとも、トレーニングデータの期間以降の最新情報は含まれていません。ChatGPT-4の方がより新しい情報まで対応していますが、常に最新の状況を反映しているわけではありません。
  • 創造的作業の限界
    • 両AIとも、人間の創造性を完全に代替することはできません。特に芸術的な創作や革新的なアイデア生成においては、人間の直感や経験が重要です。
  • 感情理解の限界
    • ChatGPT-4は感情理解の能力が向上していますが、深い共感や複雑な感情の取り扱いには限界があります。心理カウンセリングなど、高度な感情的対応が必要な場面では、専門家の介入が不可欠です。

VI. 選択の基準:どちらを使うべきか

ChatGPT-3.5と4のどちらを選択するかは、具体的な用途や要件によって異なります。以下の基準を参考に、適切なバージョンを選択しましょう。

タスクの複雑さに応じた選択

  • 簡単なタスク(ChatGPT-3.5が適している)
    • 一般的な質問応答
    • 基本的な文章作成(短いブログ記事、簡単なレポートなど)
    • 日常的な問題解決
  • 複雑なタスク(ChatGPT-4が適している)
    • 高度な分析や推論が必要な質問
    • 長文の専門的な文書作成
    • 複雑なプログラミング課題
    • マルチステップの問題解決

コスト比較

  • ChatGPT-3.5:基本的な機能は無料で利用可能。Plus版は月額20ドル程度。
  • ChatGPT-4:より高価で、使用量に応じた課金体系。一般的に3.5の数倍のコストがかかる。

予算や使用頻度を考慮し、費用対効果を検討する必要があります。頻繁に使用する基本的なタスクにはChatGPT-3.5、重要で複雑なプロジェクトにはChatGPT-4を使用するなど、使い分けも効果的です。

アクセス性と利用可能性

  • ChatGPT-3.5:広く一般に公開されており、アクセスが容易。
  • ChatGPT-4:一部の機能や高度な利用には制限がある場合があり、待機リストやアプリケーション審査が必要な場合も。

緊急性や即時利用の必要性がある場合は、ChatGPT-3.5の方が適している可能性があります

VII. 将来の展望とAI技術の進化

AIの進化は急速に進んでおり、ChatGPTも常に進化し続けています。将来的には以下のような発展が期待されています

  • さらなる言語理解の向上
    • より微妙なニュアンスや文化的背景の理解
    • 複数の言語間でのシームレスな翻訳と意味理解
  • マルチモーダル能力の拡張
    • 音声認識と生成機能の統合
    • より高度な画像処理と生成能力
  • 専門知識の深化
    • 特定の分野(医療、法律、工学など)でより深い専門知識を持つ特化型モデルの登場
  • エッジAIの発展
    • ローカルデバイスでより高度なAI処理を可能にし、プライバシーとレスポンス速度を向上
  • 倫理的AIの進化
    • より強固な倫理的ガイドラインに基づいた意思決定能力
    • 社会的影響を考慮したAIの行動原則の確立
  • 人間とAIのさらなる協調
    • AIが人間の創造性や直感を補完し、新たなイノベーションを生み出す協働モデルの確立

まとめ

ChatGPT-3.5と4の比較を通じて、AIの急速な進化が見て取れます。主要な違いを再確認すると:

  1. 言語理解と生成能力:ChatGPT-4がより高度で正確
  2. マルチモーダル機能:ChatGPT-4が画像理解能力を持つ
  3. 専門的タスクへの対応:ChatGPT-4がより高度な問題解決能力を持つ
  4. 倫理的配慮:ChatGPT-4でさらに強化

適切な使い分けが重要です:

  • 日常的な質問や基本的なタスクにはChatGPT-3.5で十分
  • 複雑で高度な分析や創造的タスクにはChatGPT-4が適している

最後に、AIは急速に進化していますが、人間の判断力や創造性の重要性は変わりません。AIを賢明に活用し、人間の能力を補完・拡張するツールとして使うことで、私たちはより大きな可能性を手にすることができるでしょう。

筆者プロフィール画像

Automagica編集部

バーチャルアシスタント(AI秘書)サービス「Automagica(オートマジカ)」を中心に、AIキャラクターの開発をしております。

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